2019.4.5
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採用・育成

デジタル世代の人材採用法「ソーシャル・メディア・リクルーティング」

(写真=Vasin Lee/Shutterstock.com)
(写真=Vasin Lee/Shutterstock.com)
「ソーシャル・メディア・リクルーティング(Social Media Recruiting)」は、世界中で27億人以上が利用するSNSを通し、需要に合った人材を発掘するという新たな人材採用法です。

人材確保に効果的なSNSの利用法やメリット、企業・求職者による需要などをご紹介しましょう。

求人サイトより広範囲にアピールする「ソーシャル・メディア・リクルーティング」

ビジネスSNS というと500万人を超えるユーザー数を誇るLinkedInが定番ですが、近年はFacebookやTwitter、YouTubeといったエンターテイメント性の強いSNSも、ソーシャル・メディア・リクルーティング・ツールとして着実にユーザーを拡大しています。

例えばFacebookは2017年に求人募集・応募サービス を開始し、本格的にソーシャル・メディア・リクルーティング市場に参入。人材を探している企業は自社ページで求人情報の投稿や応募管理を行い、メッセンジャーで応募者とコミュニケーションを図れるほか、応募者は応募フォームへの自動入力機能を利用し、気に入った企業のページから簡単に応募が完了します。

企業はこれらのSNSを通して求人情報や自社情報を発信するほか、応募者に関する情報収集や個人連絡などを行います。一方、求職者はSNSから求人情報や企業情報を収集し、気になる企業への問い合わせや応募を行うという仕組みです。

ソーシャル・メディア・リクルーティングの最大の利点は、求人サイトなどで候補者を探すよりも広範囲な市場にアピールできること。特に現在定職に就いている人材の場合、よほど強く転職を希望していない限り、頻繁に求人サイトをチェックすることはないでしょう。しかし多数の潜在的な候補者がSNSを日常的に利用していると考えると、求人広告や自社アピールがSNSを通して優秀な人材の目にとまる可能性がはるかに高いといえます。

また候補者のSNSをチェックすることで、書類選考や面接では得られないプライベートの生活スタイルや交友関係、嗜好などを把握できるという利点もあります。

6割の求職者が企業情報をSNSでチェック

リクルートツールとしてのSNSの利用率・成功率も、年々上昇傾向にあります。

英人材派遣企業タレントワークス・インターナショナルがまとめた2016~17年の調査結果によると、求職者の59%がSNSで興味をもった企業の人材情報やソーシャルチャンネルをチェックし、企業文化や職場環境について調査しています。

実際に最近の仕事を探すためにSNSを利用した求職者は48%--つまりほぼ2人に1人に達していており、69%が「SNSを運営している企業により強い信頼を置く」と回答しました。

また国際市場調査企業アバディーングループの調査 からは、特にミレニアル世代がSNSを就職活動に利用する傾向が高く、18歳から34歳までの求職者の73%がSNSを通して現在の職を得たことが明らかになっています。

求職者と企業の温度差 最も有効な戦略とは?

月間ユーザー数20億人を超えるFacebookは、職探しでも圧倒的な人気を誇るSNSです。職探しに利用している求職者は83%と、TwitterやLinkedInの2倍以上にのぼります。

対照的に人材探しにFacebookを活用している企業は55%と、LinkedInの約6割にしか過ぎません。雇用側にとってはLinkedInはビジネスに特化している点で採用したい人材を探しやすいメリットがありますが、求職者と企業間で温度差があることは明らかです。

企業は単にSNSを通じて募集するだけでは、最高の才能を確保するのに不十分である可能性に注意し、ソーシャル・メディア・リクルーティングに最も有効な戦略を立てる必要があります。

2大SNSであるFacebookとLinkedInで自社情報の発信や人材発掘を行うと同時に、定期的に自社サイトやSNSの情報を更新・共有する、企業レビューサイトの評価に返信するなど、自社の価値を反映させることが重要です。

自社が求めている人材像を明確にし、SNSを使い分ける手段も効果的です。例えば女性の人材を探している場合、Facebookとともに、女性ユーザーが80%を占める画像共有サービス「Pinterest」を自社アピールに利用することは有効といえます。

このように雇用側はターゲットに見合った多角的な採用方法をとることで、最短ルートで理想の人材を確保できるでしょう。
 

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