2018.9.27
/
人事評価

アジアの現地企業の人材流出を防ぐためにすべき4つの対策

(写真=oatawa/Shutterstock.com)
(写真=oatawa/Shutterstock.com)
アジアの国々で働く人々は日本と比べてどのようなキャリア形成をしているのでしょうか。日本の人事制度は終身雇用をベースに形づくられましたが、世界に目を向けると転職は当たり前です。今回は、アジアの現地企業の人材流出を防ぐために講じる対策を4つ説明します。

日本人従業員とアジア人従業員のキャリア形成

日本人従業員のキャリア形成は、学校を卒業して企業に就職し、企業の中でキャリアを積み重ねて、定年まで勤めあげるといった考え方が一般的でした。バブルがはじけてからは成果主義に変わってきているものの、未だに終身雇用制度と年功序列制度の考え方が残っている会社もあります。そのためキャリア形成の基本的な考え方にはひとつの企業に長く勤め、ステップアップすることが挙げられます。

一方、アジア人従業員のキャリア形成はこれまでに学んだことや自分の専門性を活かせる企業に就職して、企業の中で専門性を高めてキャリアを積みます。そこで自分のキャリアを活かして、より高い報酬が得られる機会を求めるので、チャンスがあれば転職を検討するという考え方が浸透しています。

専門性を高めキャリア形成ができる人事制度を採用する

日本からアジアに進出をした時、現地企業で育成した人材は手放したくないものです。そのため、人材の流失を防ぐためには専門性を高めるキャリア形成ができる人事制度を採用することが重要です。そして、現地の従業員のスキルアップに応じて、報酬やポジションアップを検討することも大切でしょう。

特に優秀な人材には日本本社での業務に抜擢するのもいい方法です。そうすれば彼らのキャリアアップにつながるとともに、企業にとっても有効な人材活用になるわけです。

経営トップ・幹部クラスまで現地人材を登用する

2つめには、現地企業の経営トップから幹部クラスまで、現地の人材を要として進めることです。経営トップや幹部が現地人であれば、会社の方向性を説明しやすく、現地の人材たちの考え方や状況も手に取るようにわかるはずです。ちなみに、経営トップや幹部になる人材を育成するために、アジア人留学生を企業に取り込み、日本での勤務を積み重ねて成功した事例もあります。

アジア現地国で、企業の広告宣伝をしてイメージアップを図ったり、大学生に向けて企業をPRするために講座を開設することも優秀な人材を集めるために有効です。

現地従業員の改善提案を積極的に採用する

3つめには現地の従業員の改善提案を積極的に受け入れる姿勢を見せることです。その国々に合った業務改善を行うことで、現地の従業員の生産性が向上するとともに、モチベーションも上がるはずです。結果として、アジア現地企業の人材流出を防げるのです。

アジア現地国の事情を知る

4つめは進出先の国の事情を知ることです。アジア現地国の文化、歴史、政治、経済、教育などについて知ることで、現地の社員に対しての理解が深まるはずです。日本の慣習や企業風土がそのまま生かせるわけではありません。現地の文化財や景観を記録に残す文化事業を行い、現地で企業が受け入れられる環境作りを行っている事例もあります。企業がアジア現地国で受け入れられることにより、人材流出防止が期待できます。

4つの対策で人材流出を防ぐ

アジアの現地企業の人材流出を防ぐためにすべき対策として、「専門性を高めるキャリア形成ができる人事制度を採用する」「経営トップ・幹部クラスまで現地人材を登用する」「現地従業員の改善提案を積極的に採用する」「アジア現地国の事情を知る」という4つの方法を紹介しました。これらはすでにアジアに進出している企業の成功例です。実際の成功事例を参考にしてみると現地企業の人材流出に歯止めがかかる一助になるのではないでしょうか。上記を参考に、自社の状況との差がどこにあるか、まずは考えてみることから始めてみましょう。

【オススメ記事】
グローバルタレントマネジメントが求められる理由にせまる
現地採用されたマネージャーが感じている日系企業への3つの疑問
日本型「同一労働・同一賃金」のスタンダードな位置づけは?
アジアでの法人駐在員がマネジメントで失敗する3つの理由
アジアに進出する日本企業が直面する人事における3つの課題とは?

NEXT 業績評価制度「OKR」とは?MBOやKPIとの違いもわかりやすく解説
PREV グローバル展開する企業の人事部が考えるべき2つの目線とは

公式Twitterアカウント