2019.9.15
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採用・育成

20-80のルールで生産性アップ!マネジメントでリーダーが意識すべき3つのポイント

(写真=Sergey Nivens/Shutterstock.com)
(写真=Sergey Nivens/Shutterstock.com)
「あらゆるの物事は、80%と20%の割合で構成されている」という法則=20-80のルールは、HRの領域では通常、「結果の80%は、20%の従業員に起因する」ということを指します。組織のリーダーが意識すべき割合を把握することで、効率的な組織構造や生産性の向上が期待できるでしょう。

「20-80のルール」の歴史と「パレート分析」

20-80のルールは、イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートが考案したことから、「パレート原則」と呼ばれることもあります。「大衆の20%はお金持ちの権力者、80%がそうでない層に、自然とカテゴライズされている」という事実にパレートが気付いたことに起因しますが、実際、当時のイタリアでは、土地の80%がわずか20%の富裕層に保有されていたそうです。

パレートの説は、後にビジネスやライフスタイルなどでも、20-80のルールが取り入れられるようになりました。いくつか例を挙げると、「庭で収穫されるエンドウ豆の80%は、20%の鞘から収穫される」というパレート自身の体験や、「80%の問題は、見過ごしていた20%の物事に起因する」などがあります。誰にでも、思い当たるふしがあるのではないでしょうか。

20-80のルールをベースとする「パレート分析」は、業務上の優先順位付けに役立つツールです。これは、全体に対する上位の要素の割合を示すグラフを使った分析方法です。

ビジネスシーンにおける20-80のルール

1940年代、品質管理に20-80のルールを採用した、TQM(総合的品質管理)の第一人者ジョセフ・ジュラン博士は、生産欠陥の20%が製品に関する問題の80%の原因であることを発見しました。そこで、欠陥の20%を改善することで、全体的な製品の品質を向上させることに成功したのです。現在のビジネスシーンにおいては、下記のような20-80の応用ルールが生まれています。
  • 商品の売上の80%は、20%の人気商品が生みだしている
  • 企業の売上の80%は、20%の従業員が生みだしている
  • 組織の問題の80%は、20%の従業員に起因する
そのうちの一つに、「仕事と責任の80%は、わずか20%の従業員の肩にかかっている」というものがあります。これは、「努力や成果の大部分は、ごく少数派の優秀な従業員によるもの」という意味です。この20%を見極めることは容易ではないかもしれません。しかし、人的資本がビジネスの成功に大きな影響を与える要因であることが認識されている現在、時間をかけて特定・育成する価値は十分にありはずです。

20-80のルールのメリットとリーダーが意識すべき3つのポイント

20-80のルールが適切に活用された場合、組織の成長やエンゲージメントの強化、パフォーマンスや生産性の向上など、長期的なメリットをもたらします。しかし、適用ポイントや配分などは組織やチームによって異なるため、時間をかけて自社にとって最適な活用法や配分を試行錯誤する必要があるでしょう。活用に辺り、リーダーが意識すべきポイントは以下の3つです。

1. 意思決定の80%は部下に任せる

多くのマネージャーに、過度な指導を行う傾向が見られます。リーダーまたはマネージャーとして、あなたは意思決定の20%を超えないようにするべきです。GoogleやIntel、Amazon、LinkedInなどの大手企業は、責任感とアカウンタビリティー(説明義務)を従業員に浸透させるための方法として、OKR(目標と成果指標)を使用しています。

従業員の一人ひとりが独自の目標を設け、それを達成するために必要な重要なステップを特定・実行するという目標・成果管理アプローチです。OKRは、アイデアを共有し、より深く考え、社内のイニシアチブに参加する機会を従業員に与えます。「従業員に意思決定の大部分を委ねる」という観点で、20-80のルールと共通するものがあります。

2. 80%は「良い聞き手」に徹する

リーダーの主な役割は、部下を指導することです。「『指導」と『教える』は、根本的に異なる」という点を理解し、部下が自力で目標を達成にできるように導く必要があります。「部下がどのような行動をとるべきか」について1~10まで指示しているようでは、いつまでたっても部下は成長しないでしょう。部下の成長をサポートするうえで重要となるのは、部下の話にしっかりと耳を傾けることです。

仕事の進行状況から個人的な相談まで、部下と接する時間の80%は聞き手に徹し、コーチングやフィードバックを取り入れつつ、必要に応じて指導を行うというアプローチは、一方的に「教える」だけのアプローチよりはるかに効果的です。また、部下の価値観や性質、最適な仕事のスタイルを把握するうえでも役立ちます。

3. 20%の最も重要なタスクに専念させる

電話の応対やメールのチェック、レポートの作成など、さほど重要ではない作業で「強力な即戦力となる20%の従業員」の時間や労力を浪費していませんか。即戦力となる20%従業員には、重要なタスクに専念できる環境を提供し、80%には一般的なタスクを任せる一方、仕事の効率性や生産性を向上させる指導を行うなど、それぞれの役割に合ったアプローチを検討しましょう。

常に割合が変化しないわけではなく、場合によっては10-90や40-60になることもあります。そのため、定義された割合にこだわるのではなく、状況に応じて割合を変化させる柔軟性も重要です。
 

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