2018.12.25
/
国別トレンド

世界で一番働きがいのある企業セールスフォースの組織経営

(写真=ASDF_MEDIA/Shutterstock.com)
(写真=ASDF_MEDIA/Shutterstock.com)
セールスフォースはフォーチューンでも「働きがいのある企業」の世界1位に選出されるほど、イノベーティブで働きがいのある企業として世界的に高い評価を受けています。企業文化を最重要視するセールスフォースの組織経営には、世界で活躍する企業の組織経営に必要な要素が多数あります。

社員は家族「オハナ」

「オハナ(Ohana)」とはハワイ語で「家族」に該当する言葉ですが、現在は血縁関係だけではなく、信頼できる関係や家族的な絆を支える精神など幅広い意味をもちます。休暇で訪れたハワイでオハナの概念にインスピレーションを受けたマーク・ベニオフCEOは、後にセールスフォースを設立した際、同社の基盤として独自のオハナを確立させました。

現在は社内に根付いた互いにサポートし合うシステムとして、従業員に止まらず、ビジネス・パートナー、顧客、そして同社が「家庭」と見なす地域社会のメンバーにまで、オハナの絆は広がっています。

戦略的基盤を支える4つのコアバリュー

セールスフォースは戦略的基盤を支える価値観として、以下の4つのコアバリューを重視しています。
  1. 信頼
  2. カスタマー・サクセス
  3. イノベーション
  4. 平等
オハナの信頼関係を最重視している同社は、信頼関係を築く一環として、顧客がシステム・パフォーマンスやセキュリティに関するリアルタイムな情報が入手できる「Trust.salesforce.com」や、アプリのセキュリティーについて学べる「Trust Academy」などを提供しています。

1999年の設立から20年足らずで25カ国に3万人の従業員を擁し、あらゆる規模・産業で15万人以上の顧客にサービスを提供する国際企業へと急成長を遂げた背景には、「カスタマー・サクセス」という概念があります。これは「顧客が並外れた業績を上げる手助けをすることで、顧客とともに成長する」というもので、その成果は同社の並外れた急成長ぶりが証明しています。

毎年3つの革新的な商品・サービスをリリースするなど、イノベーションにも力を入れています。「現状維持」に徹することなく未知の分野にも積極的に挑戦し、世界のビジネスに影響を与える可能性のあるイニシアチブを徹底的に追求しています。

また、あらゆる背景をもった人々を尊重し、多様で包括的な職場が革新と創造性を促進すると同時に、皆が一員であると感じることができる文化の構築に努めています。

V2MOMを軸に業務を遂行

セールスフォースではベニオフCEOがオラクル勤務時代の体験を活かし考案した、独自の管理システム「V2MOM」を採用しています。これは「Vision(洞察力)」「Values(価値)」「Methods(メソッド)」「Obstacles(障害)」「Measures(基準)」という5つの要素に基づく、組織内の意志統一を効果的に具体化するための手法です。

自社プラットフォームで組織全体のV2MOMを作成し、それを元に各従業員が自らのV2MOMを作成するという仕組みです。これにより組織の優先事項だけではなく、全従業員が一人ひとりの役割や目標などを確実に理解できるのです。

社会貢献活動「1-1-1 Model」

セールスフォースは全世界のコミュニティー向上を目指し、テクノロジー、リソース、従業員ネットワークを活用したコーポレート・フィランソロピー(企業慈善事業)「Salesforce.org」も展開しています。

自社株・製品・従業員の就業時間の1%を社会に還元するというユニークな社会貢献活動「1-1-1 Model」は、過去18年間で総額2.3億ドルの助成金、320万時間相当のコミュニティーサービスを社会に還元しているおり、各従業員に7日間のボランティア有給休暇をあたえるなど、従業員が自発的に慈善活動に参加できる機会も提供しています。

また「Power of Us」というプログラムを通し、3.7万以上の非営利団体や高等教育機関に自社製品・サービスを無料或いは割引料金で提供しているほか、「Future Ready」というプログラムでは子どもや若者の学校教育、テクノロジー、就労に備えた支援を行うことで、能力を発揮できる環境作りに貢献しています。

「利益より遥かに尊い目的をもった企業にセールスフォースを育てる」というベニオフCEOのビジョンはオハナという企業文化を軸に、セールスフォースをさらなる高みへと導くことでしょう。

【オススメ記事】
グローバルタレントマネジメントが求められる理由にせまる
アジアの現地企業の人材流出を防ぐためにすべき4つの対策
日本型「同一労働・同一賃金」のスタンダードな位置づけは?
アジアでの法人駐在員がマネジメントで失敗する3つの理由
アジアに進出する日本企業が直面する人事における3つの課題とは?
NEXT ファーウェイによる「世界を変える」意識を持つ人材育成方法
PREV 20年弱で中国最大企業に上り詰めたアリババの組織経営とは

公式Twitterアカウント