2019.9.25
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潜在的な才能や適性を発見する「セレクション・アセスメント」とは?

(写真=LightField Studios/Shutterstock.com)
(写真=LightField Studios/Shutterstock.com)
「セレクション・アセスメント(Selection Assessment)」は、海外で幅広く利用されている人事・採用評価法です。面接や通常のパフォーマンス評価では測定することが難しい、潜在的な才能や適性の評価で効果を発揮します。

セレクション・アセスメントの構成要素は評価の対象によって異なるため、各評価法の特性を理解し、最適なアプローチを選ぶ必要があります。

セレクション・アセスメントの特徴と目的

セレクション・アセスメントの特徴は、新規雇用からリーダー候補の選考まで、多様な選考プロセスに応用できることと、特定のHRテックツールなどを準備する必要がなく、比較的容易に採用できることです。

セレクション・アセスメントが多くの企業で採用されている理由は、候補者に対する理解を深め、情報の質と量を改善することで、潜在的な才能や適性を特定できるためです。

例えば、面接や筆記試験の際、どのような質問を聞かれ、合格するためにはどのような返答をすればいいか、候補者はある程度予測しています。そのため、潜在的な才能や適正を正しく把握することが難しいのです。

面接では仕事に対する熱意やスキル、協調性をアピールしていたにも関わらず、現場では「フットワークが重い」「チームワークができない」など、評価と現実がかけ離れているケースは少なくありません。

リーダー候補を決める場合も同様に、表面的な行動やパフォーマンスに焦点が当たることで、適任者を見過ごしている可能性があります。

セレクション・アセスメントは、こうした「ギャップ」を埋めるために設計された評価方法です。

様々なセレクション・アセスメントと効果的な活用法

セレクション・アセスメントの中から、日本の企業でも採用しやすいものを紹介します。複数の評価方法を組み合わせて、あらゆる角度から結果を分析することで、より有益な洞察を得られるでしょう。

メールボックス・エクササイズ

限られた時間内に、大量のメールを処理するエクササイズです。すべてのメールを処理する時間は与えられていないため、メールの優先度を素早く判断し、担当者に振り分けていきます。問題解決能力や意思決定能力を測定できるため、マネージメント適正評価に利用されています。

ファクト・ファインディング(事実の発見)

相手に質問をすることで、与えられた課題について情報を収集し、そこから事実を見つけるエクササイズです。正確な情報収集能力と問題の特定能力を測定できるため、クライアントに接する職種の適正評価に向いています。

シチュエーショナル・ジャッジメント・テスト(状況判断)

候補者には仕事に関連したシナリオが提示され、その状況を友好的に解決するための判断力が求められます。カスタマーサービスや監督者などの適正評価に適しています。

ワークサンプル・テスト

採用された場合、課されると予想される仕事と共通点のある架空のタスクを与え、そのプロセスや完成度を評価します。

ワークサンプル・テストには、ロールプレイングやグループエクササイズも含まれます。これによて、チームワークや職場における人間関係を円滑に保つスキルも測定できます。

プレゼンテーション

プレゼンテーションは、最も簡潔でクリアな洞察を得られる評価方法です。主導権はあくまで候補者にあるため、業務に必要な能力やスキルを総合的かつ客観的に評価できます。

・説得力(言語の流暢さ、公式の場でも自信を持って行動できるかどうか)
・状況アイデアや概念、ビジョンを伝える能力
・複雑な情報を容易に分析し表現する能力
・専門知識
・計画力

ライティング・テスト(筆記テスト)

プレゼンテーション同様、準備に時間や労力を必要とせず、条件に合った人材を見つけやすいのがメリットです。

面接時に、業務に関係のあるタスクを与えます。必要に応じて、パソコンや電卓などを提供します。「タスクを完了できたか」「どのようにタスクを完了したか」「何が原因でタスクを完了できなかったか」など、結果から候補者の現在の能力やスキルを測定します。

面接の前にライティングテストを送付し、面接当日に持ってきててもらうと時間の節約になります。

イントレイ・エクササイズ

トレイの中(In-Tray)に12~15種類の書類(メモ、手紙、電話メッセージ、業務関連の種類など)を入れ、候補者に選別してもらいます。どのような優先事項を設け、どのような行動を取るかを観察し、候補者の職種別の能力を判断します。

問題分析・解決能力、パフォーマンスマネージメント、タイムマネージメント、優先順位付け、責任感、戦略的思考、決断力などを評価できます。

候補者がすでに持っているスキルや経験、仕事の質・内容などを考慮し、自社に合ったセレクション・アセスメントを見つけて下さい。
 

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