2018.11.16
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採用・育成

海外進出する企業が現地で優秀な人材を獲得するために必要な5つのこと

(写真=fizkes/Shutterstock.com)
(写真=fizkes/Shutterstock.com)
海外進出する企業にとって事業展開に重要な要素のひとつが現地人材の採用です。欧米系企業もひしめく中、優秀な人材を獲得するためにはどうしたらよいのでしょうか。アジア圏での人材獲得について必要な5つのことを紹介します。

採用に苦戦する日本企業

海外進出先で優秀な人材を採用するためには、欧米企業や現地の大手企業との採用競争に勝たなければなりません。

働くことへの意識や目的の違い、海外企業に多いスペシャリスト文化と日本企業に多いジェネラリスト文化よる組織構造の違いなど、海外の企業と比べて日本企業は特異なため、ローカライズに力を入れるのも採用に大きな壁が存在しています。

このような状況下で日本企業が優秀な人材を獲得するには以下の5つのポイントが必要です。

ポイント1:アジアでは根強いリファラル採用

リファラル採用とは、社員や現地エージェントなどの外部コネクションの紹介による人材採用のことです。アジアでは家族や友人知人からの紹介によって就職先を決めるケースが多く、ベトナムでは約36%、タイ約24%、中国約20%、マレーシア約15%もあるのです。

また、紹介者が社員であれば、求職者のスキルも社風もよく知っているため、高いマッチング力や定着率が期待でき、素早い採用によってコストや時間も削減できます。

ポイント2:採用にも欠かせないSNSの活用

リファラル採用以外では就職や転職を目的としたメディアの利用も盛んです。日本と同じく就職支援情報のウェブサイトから情報を得る人も多く、そこからのリンクで自社サイトに訪れることから、企業も自社サイトの構築・改善に力を入れています。

また、企業と求職者とのアクセスはSNSを活用しています。中でもビジネスに特化した「LinkedIn(リンクトイン)」は世界中で利用されており、日本語にも対応しています。アジアでも利用者が多く、企業側も積極的に採用に活用しています。海外進出する企業だけでなく、国内でグローバル人材を確保したい企業もこうしたビジネス特化型SNSの活用は欠かせません。

ポイント3:優秀な人材には特別扱いも必要

アジアでは求職者が仕事において一番重要視しているのは高い賃金です。日本企業の給与水準は決して高くはなく、現地の基準へのアップデートに苦労している企業も多いでしょう。

転職者の採用の際には、以前の年収よりも高い賃金を提示することが当たり前であり、特に優秀な人材であれば雇用・勤務条件を個別に調整することがあります。優秀な人材ほど他の企業に取られてしまう可能性も高いので、どうしても欲しいと思う人材であれば、採用に際してある程度は特別な扱いをすることも必要です。

ポイント4:キャリアパスの明示

アジアでは昇進スピードが速く、転職であってもそれをきっかけに出世し、管理職につくこともあります。そのため、どの程度のスピードで役職が上がるのか、そのための条件や給与はどのように上がるのかなど具体的なキャリアパスを明示する必要があります。

海外企業は判断スピードが速いので、もたもたしていると優秀な人材を奪われてしまうかもしれません。人材獲得のためには、スピード重視で採用を進めることが肝心です。

ポイント5:働き方のローカライズ

日本では仕事が中心となっている傾向があり、業務遂行のために長時間労働を行うこともあります。しかしアジアでは家族との時間を大切にしますので、長時間労働や、長い通勤時間などは受けいれてもらえません。ただし、給与が高くなるなどの条件次第では長時間労働を選ぶこともあります。

とはいえ、大切にしたいことの優先順位や、条件次第でどこまで融通が利くのかなどは国や人によってさまざまです。現地の習慣や考え方を尊重し、働き方についてもローカライズする必要があります。

日本企業の常識は海外の非常識である自覚を

日本は人事・組織面でも独自のスタイルを持っているため、海外進出の際に現地に合わせなければならないことが多く、採用競争で欧米企業と戦うにはハードルが高めです。そのため現地の文化や環境に合わせ、臨機応変に素早い採用を心掛けることが求められているのです。
 

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