2019.2.7
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採用・育成

世界で通用する次世代リーダーの育成法とは

(写真=kram9/Shutterstock.com)
(写真=kram9/Shutterstock.com)
少子高齢化などによって人手不足が高まる中で、優秀な若手社員の採用競争はますます激しさを増しています。日本から世界へ進出している企業の中には、海外で活躍できそうな人材の採用・選定・育成に困難さを感じているところも多いのではないでしょうか。

今回は、海外展開を考える企業が抱える人材面での課題と、世界で通用する「次世代リーダー像」とその育成方法について考えます。

多くの企業が痛感する人材不足の現状

2010年代の中盤以降、景気回復に伴う労働需要の高まりによって雇用情勢が大きく改善する一方で、中小企業を中心に人手不足感が強くなっています。内閣府は、人手不足感がバブル並みの水準にまで達しているとの認識を示しています。また運輸・郵便業、各種サービス業、医療・福祉を始めとした非製造業で特に人手不足感が強いとされています。

また海外に進出している日本企業からすると、特に若者の「内向き志向」が気になるところです。内閣府が2013年に実施した調査によると、13歳から29歳の男女のうち国際的な視野を「身に付けていると思う」と回答したのはわずか24.3%と、回答対象となった7ヵ国の中で最も低い結果でした。またOECDの調査によれば海外への留学者数も90年代後半から2000年代に比べると減少傾向にあるなど、日本人の「内向き志向」が強まっていることをうかがわせるデータが出ています。

以上を踏まえると、グローバル市場での売上拡大を目指す日本企業にとって、世界をまたにかけて活躍できる人材がなかなか採用・育成できない課題があることが推測されます。

海外で成功するためには次世代リーダーが必要

海外進出を成功させるには、意欲と体力、リーダーシップ、コミュニケーション能力を兼ね備えた「次世代リーダー」が求められます。

海外展開のステージとして、「進出期」「自立期」「成熟期」の3つに分かれると考えられます。最初は海外拠点の立ち上げと拡大が必要であり、本社から派遣された駐在者がリーダーシップをもって拠点の安定化と新規顧客の獲得を進めます。その後拠点が少しずつ自立度を強め、現地スタッフに業務を移譲するとともに本社の役割が拠点の主導からサポート・監査へ転換していくのです。

こうした3つのステージを踏まえると、海外進出を成功させるには強いリーダーシップが求められます。ただし、それだけでは十分ではありません。「次世代リーダー」は、最初は自らが動いて拠点を安定化させるとともに、現地スタッフとのコミュニケーションを通じて人材の育成にも努め、タスクを少しずつ任せるだけのマネジメント能力が必要になります。

求められる次世代リーダー像

海外進出を成功に導く次世代リーダーには、さまざまな能力や特性が求められます。たとえば次のような特徴が挙げられます。

・柔軟な学習能力と好奇心(冒険心)
・コミュニケーション能力と他者からの信頼感
・多様な人材のマネジメントや人材育成のスキル
・異文化や異なる価値観の人を尊重し理解する
・PDCAスキルや情報収集能力

注目すべきは「異文化や異なる価値観の人を尊重し理解する」という特性でしょう。PDCAスキルや情報収集能力などといった業務遂行に必要な能力が高いことはもちろん、異なる文化やバックグラウンドを持つ現地スタッフと理解し合えるだけの語学力やコミュニケーション能力が必要であると考えられます。

次世代リーダーを育成するためのポイント

次世代リーダーを育成するには、まず次世代リーダーに期待する資質や人物像を明確にすることです。優秀な社員に共通する特性を抽出し、社員の評価基準とする「コンピテンシー評価」と呼ばれる人事評価制度がありますが、これを次世代リーダーの育成にも活用できると考えられます。

上でご紹介したような「求められる次世代リーダー像」を自社の状況に合うようにカスタマイズした上で言語化し、どんな行動が評価されるか次世代リーダー候補である若手社員に明示することが一番です。これによって、若手社員は明確な指針の元でスキルアップ・キャリアアップに努めることができるでしょう。

期待する次世代リーダー像を明確にしてから、それを目指すための研修やOJTなどを構築していきます。海外進出を果たしている多くの企業が英語教育や異文化コミュニケーションスキル教育、日本人を対象としたグローバルリーダー育成などに取り組んでいます。こうした施策を中心に、リーダーとして必要なスキルを身に付けさせる研修・OJTを検討するとよいでしょう。

自社の求める「次世代リーダー像」を若手と共有する

上の世代と比較して「内向き」と言われる若手社員を次世代リーダーとして育成するには、計画性が求められます。方向性(目標)をはっきりさせ、現状との比較で不足する点を自覚させ、不足点を埋めるための研修や自己学習、そして業務経験などを継続的に続ける必要があります。「若手が育たない」と嘆く前に、自社の求めるリーダー像が明確になっているのか、それが若手にも共有されているのか、育成計画が妥当かなどを再検討することを必要になるでしょう。
 

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