2019.2.22
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採用・育成

企業に広がる「グローバル採用」の意義と課題

(画像=baranq/Shutterstock.com)
(画像=baranq/Shutterstock.com)
海外進出を目指す企業では、海外事業を託せるようなグローバル人材の採用が最大の課題です。大企業であればともかく、中小企業だとなかなか海外志向の強い社員を採用することが難しいかもしれません。

今回は、グローバル採用のタイプ分けをした上で、どのようにグローバル人材を採用・育成するのか考えます。

グローバル採用のタイプ

企業が海外へ進出するにあたって最大の課題は、海外事業を担える人材の不足です。総務省が980社を対象に行った調査では、実に7割を超える企業が「不足」「どちらかといえば不足」と回答しています。海外へ進出したくても、事業所の開設や市場の開拓を任せられる人材がいなければ不可能です。いかに海外へ派遣できる人材を採用・育成するかが、海外進出の成否の分かれ目と言っても過言ではありません。

海外事業に必要な人材を確保するために、近年各企業は「グローバル採用」を導入し始めています。企業のWebサイトの採用ページに、新卒採用や中途採用と並んで「グローバル採用」を設置し、グローバル人材の登用に力を入れる姿勢を打ち出す企業は少なくありません。

グローバル採用には、次の5つのタイプがあります。
・国内の日本人の新卒者
・国内の日本人の中途採用者
・国外の大学、大学院を卒業した日本人
・国内に留学してきた外国人
・国外の外国人

総務省の調査では、最も多いのが国内の日本人の中途採用者であり、全体の3分の2ほどの企業が取り組んでいます。国内の日本人の新卒者も半数以上が取り組んでおり、比較的国内の日本人に偏っているのがグローバル採用の実情となります。グローバル採用と言っても外国人、とりわけ海外の外国人を積極的に採用している企業は少数です。

ただし、日本人の中でも留学や帰国子女など、海外経験の豊富な人材がグローバル人材として採用される傾向にあります。

グローバル採用は企業にどんなメリットをもたらすか

最大のメリットは、優秀な人材の確保です。海外進出を目指す、あるいは既に進出しておりビジネスの拡大を目指す企業にとって、海外にアレルギーを持たない人材は仮に日本人であっても欲しいものです。英語が話せて海外文化にも慣れている人材であれば、なおさら獲得したいでしょう。採用の枠を海外に広げられれば、海外経験のみならず専門性やスキルを持った優秀な人材を確保しやすくなると考えられます。

また、グローバル採用の導入や拡大は社内に対するメッセージにもなり得ます。英語力の高い日本人、あるいは外国人の採用枠を広げることで、既存社員に「本気で海外進出しグローバル企業化を目指している」と認識させることになります。モチベーションの高い人材が入ることで、社内に刺激を与えてくれる可能性もあります。

必ずしもうまくいかないグローバル採用の傾向と解決策

グローバル採用にも課題はあります。そもそも、海外志向の強い日本人を獲得できるかというところから課題です。産業能率大学が実施した新入社員を対象とした調査によると、「海外で働きたいと思わない」と回答した割合は2017年度の段階で6割を超えています。2004年度の時点では3割を切っていたことからすると、わずか10年あまりで若者の「内向き志向・海外嫌い」が急激に高まっているのです。

そうなると、数少ない海外志向を持つ求職者の獲得競争が激しくなります。海外進出を目指しているのに、海外志向を持つ人材を採用できない企業が増えていることは明らかです。この点が、総務省の調査で「海外事業に必要な社員が不足している」と回答する企業の多さにつながっていることも推測されます。

それでは日本在住の外国人採用を目指すかというと、やはりこれも簡単ではありません。日本で就職を目指すために在留資格変更許可申請を提出し許可された人の数は増加傾向にありますが、それでも2017年時点で2万人ほどです。また半数以上が首都圏で就職しており、他の地域では留学生を見つけることすら容易ではありません。仮に外国人を採用できても、言語の問題や企業風土・研修体制などの準備が必要であり、うまく活躍させられるかは未知数でしょう。

以上を踏まえると、特に中小企業であれば、まずは海外志向の強い日本人社員の育成、そして目を付けた既存社員に対する海外拠点での活躍を目的とした研修が必要となります。英語力はもちろん、現地の文化やマネジメント力などを身に付けることが求められます。自社内だけで研修を進めることが難しければ、海外進出に強みを持つ人材サービス会社や研修会社などを利用するとよいでしょう。

まずは既存社員の育成や能力開発から始める

海外進出のために、人材の確保が喫緊の課題であることは言うまでもありません。この課題を解決するために、まずは既存の日本人社員の育成を目指すこと、そして現地でプレゼンスを築いたら現地採用を目指すなど、ステップを設けて「グローバル採用」を進めることが必要です。

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