2019.7.8
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人事評価

組織を成長させる「タレント・アセスメント・ツール」はこう活用する

(写真=Dean Drobot/Shutterstock.com)
(写真=Dean Drobot/Shutterstock.com)
企業の成長をリードするコア人材、トップタレント(優秀な人材)を発掘・育成するために、タレント・アセスメント・ツールを活用する企業が増えています。

HRテックの波に乗って様々な評価ツールが登場していますが、組織の規模や目標に合ったものを選択しないと効果は半減してしまいます。主要ツールの種類や効果的な活用法、メリットを理解することで、最大効果を狙いましょう。

タレント・アセスメント・ツールとは?

タレント・アセスメント・ツールは、採用から育成、継承まで、組織の戦力となる人材の特定や育成戦略に役立つほか、従業員の潜在的なキャリアパスも描き出します。

アセスメントの結果に基づき、組織の成長に貢献する人材を採用し、個人の特質や能力が最大限に発揮される役割とさらなる成長の機会を与えることで、トップ・タレントの定着率が劇的に改善することが期待できます。

タレント・アセスメント・ツールの導入・活用で注意すべき点は、単なる分析・予想結果で終わらせないことです。最大限の効果を得るためには、組織の規模や目標を明確化し、分析結果を表面的には見えていなかった「気づき」の機会として活かすことが重要です。また、1回限りの実施では長期的な効果は期待できないため、定期的に実施する必要があります。

必要に応じて複数のツールを組み合わせ、自社の規模や目標に合ったアセスメント・システムを構築することで、パフォーマンス性の高い職場環境を作ることができるでしょう。

主要ツールの種類とメリット

1 ジェネリックスキル評価

ジェネリックスキル評価は、「チームで働く能力」「前に踏み出す力」「考える力」という3つの能力からなる、社会人基礎力を判断するためのツールです。社会人基礎力は、組織の一員として、様々な人とコミュニケーションを取りながら働く上で、必要不可欠な要素です。

2 人格・人間性評価

個々の潜在的な人格や本質を知ることで、組織やチームへのコミットメント意識や企業活動に対するコンプライアンス意識を計測できるほか、組織における役割や能力・スキル開発トレーニングなどの指針としても役立ちます。

3 採用適性評価

コミュニケーションスキルやチームワークスキル、仕事に対する積極性、責任度、ストレスへの耐性などを総合的に分析し、自社の企業文化やビジネススタイルに適した人材かどうかを判断します。また、将来の貢献度や潜在的な能力を予測する手段としても活用できます。

4 組織力評価

企業存続の基盤となる組織力強化を目的とするリーダーシップやマネージメント能力、オペレーション能力といった組織体制をはじめ、組織内の人間関係や従業員の定着率、多様性など細部にわたる分析にも用いられます。

5 行動・思考特性評価

個々の行動および思考特性をもとに従業員一人ひとりへの理解を深め、コミュニケーションの向上や社内の人間関係の円滑化に役立てます。また、効果的なチーム開発やマネージメント力の強化にも貢献します。

6 多面性(360度)評価

上司だけではなく同僚や社外関係者も評価に携わる多面性評価は、様々な角度から総合的かつ客観的な評価ができるツールとして、マネージメントの育成からリーダーシップの向上、能力開発まで幅広い目的で活用されています。

ベストな活用法とは?

従業員と組織の潜在的成長領域を特定し向上させるためには、アセスメントツールを活用する目的を明確にし、かつ適切に管理する必要があります。

例えば、新規社員の採用にあたって自社採用基準を多く用いているものの、「基準そのものが漠然としている」あるいは「自社の変化に合わせてアップデートされていない」というケースがあります。この場合、現時点で明確になっている自社の目標に基づいて、採用基準も見直す必要があるかも知れません。

採用基準を最適化した後、自社の求める人材を発見する上で役立つ、採用適性評価ツールやジェネリックスキル評価、人格・人間性評価などを活用します。選考後は、発見した新しいタレントの育成に向け、能力開発プロセスを多面性(360度)評価などで定期的にモニタリングします。

下準備から評価後のフォローアップまで一貫したプロセスを踏むことで、タレント・アセスメント・ツールは最大効果を発揮するのです。
 

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