2019.5.29
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人事評価

従業員のエンパワーメントを高める人事評価、3つの重要ポイント

(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
従業員の本来の力を引き出し活用して、生産性と従業員満足感を高める「エンパワーメント」。エンパワーメントの向上を意識した人事評価は、評価を受ける従業員の成長を促すだではなく、組織全体に長期的な利益もたらす投資となります。

従来の人事評価法の問題点

グローバル化や企業構造の平坦化、驚異的なテクノロジーの進化、新たな世代の労働市場流入など様々な変化により、職場における継続的なコミュニケーションが不可欠な環境へと様変わりしつつあります。

年に一度あるいは半年に一度、業績や仕事の能力を測定するだけの人事評価は、無機質で公平性に欠ける傾向があります。 その結果、従業員のモチベーションを下げ、上司と部下の信頼関係を傷つける危険性が指摘されています。

本来は生産力を高め、組織力を強化することが目的であるべき人事評価が、従業員の不安や煩わしさの原因となっては利益のみならず大切な人材資本まで失いかねません。

エンパワーメントの重要性

そこで注目されているのが「エンパワーメント(Empowerment)」です。

組織におけるエンパワーメントは、「従業員にスキルやリソース、権限、機会、動機などをあたえ、行動の結果に対して責任感をもたせることで、能力を最大限に引き出し、仕事に対する満足度を向上させる」という概念に基づいています。
従業員の能力を最大限に引きだすことで、組織は生産力の向上や革新的なアイデアの創出など大きな利益を得れるほか、従業員の定着率が高まることなどが期待できます。

MicrosoftやGAP、アクセンチュアといった大手企業は、従来の評価プロセスからエンパワーメントに重点を置いた評価プロセスへの移行を実施し、既にその効果を実感しているそうです。

エンパワーメントの向上を意識した人事評価3つの重要ポイント

1 可能な限り頻繁に評価を行う

評価のタンミングを四半期に一度に増やし、必要に応じて非公式な人事評価を行います。次の公式な評価までの期間に非公式な評価を行うことで、課題や成長プロセスのフォローアップができるほか、上司と従業員間のコミュニケーションを向上させる機会にもなります。また従業員のモチベーション維持にもつながります。

2 多面的な評価でバイアスをなくす

評価する側の意識にバイアスがかかっていることが、公平で客観的な評価の妨げになっていると数々の調査から明らかになっています。つまり意識している、いないに関わらず、評価する相手あるいは過去の業績や行動に対する先入観や主観が、評価に反映されるということです。

バイアスを避ける意図で、近年は上司・同僚・顧客など複数の視点からフィードバックを受ける「360度評価」を採用する企業が増えています。「360度評価」は公平性や客観性を向上させ、評価を受ける従業員に意識改革を促すことを目的としたものです。

公平性や客観性を向上させ、評価を受ける従業員に意識改革を促すことを目的とする「360度評価」と、従業員の満足度や管理者が認識していない功績や努力を知ることができる「自己評価」の両方を参考にすれば、視点をさらに多面化することができます。

3 マネージメントを強化し、効果的な評価システムを構築する

効果的な評価システムの基盤となるのは、評価を行うマネジメントです。評価基準からプロセス、対処法などを詳細にわたるまで明確にし、定期的なオリエンテーションやトレーニング、コーチングを提供するなど、徹底したサポート環境が必要です。

また評価を行う側にも「公平な評価がなされているか」「プロセスは効果的か」といったフィードバックを提供し、見直しの機会を作ります。

人事評価は人々が能力を最大限に発揮できるよう、職場環境や環境を整えるプロセスです。従業員がサービスとパフォーマンスを向上させるために率先してアイデアを出し、問題を解決することができる職場は多くの人にとって理想的でしょう。エンパワーメントの促進は、こうした生き生きとした職場環境を作りだす上で大いに役立つはずです。

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