2019.7.9
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人事評価

マネージャーにも「評価」が必要?4つのチェックポイント

(写真=fizkes/Shutterstock.com)
(写真=fizkes/Shutterstock.com)
通常は、従業員を評価する立場にあるHRマネージャー(人事担当者)。しかし、適切な人事評価を行うためには、その役割と担当者のスキルやキャパシティーにギャップが生じていないかを判断する「HRマネージャー向けアセスメント」も必要です。

優秀なHR能力を見極めて適正を判断する上で、シナリオベースのアセスメントが役立ちます。

HRマネージャーとして必須のスキル

HRマネージャーには、自社の持続的な成長に向け組織全体のバランスを考慮しながら、管理から人事まで様々な業務に的確に対応する能力が欠かせません。

優秀なHRマネージャーは、HRという仕事の複雑な性質を理解し、長期的・短期的な目標の達成に向けて努力を怠りません。組織の様々な部門と効果的なコミュニケーションを図り、組織の行動や変化を敏感に察知しつつ、問題の特定や優先順位付けを行うスキルを身に付けています。

組織内の守秘義務を厳守し、従業員にとって良いリスナー(聞き手)であり、メディエーター(調停役)であり、説得者であることが直接的な人材スキルとして求められます。

優秀なHRマネージャーを見極める4つのチェックポイント

基本的な管理能力・義務能力だけではなく、人材スキルにフォーカスしたアセスメントで人事担当者としての適正を判断します。様々なアセスメント・メソッドが考えられますが、ここではシナリオを想定し、それに対するHRマネージャーの回答が「チェックポイントをクリアしているかどうか」を基準にするメソッドをご紹介しましょう。

1 守秘義務能力

人事業務では給与や採用、人事異動に関する情報など、漏洩すると業務や組織の活動に支障をきたす可能性のある重要な情報を取り扱っています。それらを漏洩した場合、内容によっては個人情報保護法違反にあたることもあります。

シナリオ:上司から、従業員の給与情報や個人情報の提出を求められました。

チェックポイント:「機密情報や個人情報を管理している」という重要な任務に対する、意識の高さをチェックします。提出を求められた相手が上司である場合でも、「どのような目的で、いつ、どこで利用されるのか」を質問することができるでしょうか。

2 リスニング能力

従業員の不平不満への対応力の一つに、良きリスナーに徹する能力があります。相手の話を途中で遮らず、最後まで耳を傾けて「理解しようと努めている」という姿勢を伝えると同時に、客観的かつ肯定的なメッセージを伝えることで、相手の不満を和らげます。

シナリオ:従業員Aが昇進したことに対し、同期である従業員Bは「理不尽で不公平な評価」だと不満を募らせています。

チェックポイント:優秀な人材担当者は、従業員の抱えている不満の原因の特定に全力を尽くします。相手の話に辛抱強く耳を傾け、問題の調査を開始する一方で、「昇進に向けてどのようなスキルを習得すべきか」「どのようなキャリアパスを目指しているのか」といった、ポジティブ思考への転換を促す会話スキルも身に付けています。

3 メディエーション能力

組織内で生じる問題の多くは、コミュニケーションの欠如に起因するものです。両者の言い分を聞き、調停役として客観的に対応する能力が必要です。

シナリオ:部署内業務の変更点を知らされていなかった従業員が、新しいやり方に不満を抱いています。この変更は新しい上司の就任を機に実施されたもので、従業員は以前の上司から何も知らされていなかったと憤慨しています。

チェックポイント:コミュニケーションの欠如の要因を特定し、改善策を講じると同時に、部署内で会議を開くなどして、従業員の不満解消を促すアプローチができているでしょうか。

4 パスウェイジョン能力

シナリオ:従業員と管理職の間で、摩擦が生じています。従業員の多くは、チームリーダーや大きな部門の管理職の経験がありません。

チェックポイント:このような「摩擦」は、従業員の定着率に悪影響を与えるリスクがあります。過去のデータを使用するなどして潜在的リスクを明らかにし、従業員を理解する能力の向上を目的とする管理研修を提案するなど、具体的な改善案を示すことができるでしょうか。

HRアセスメントがもたらすメリット

「優秀なHRマネージャーが、組織のHR強化のカギを握る」をキーワードに人事能力を評価することで、既に習得したスキルと今後の課題が浮かび上がるはずです。

4つのチェックポイントをクリアしていないHRマネージャーには、弱点の強化を促すトレーニングを提供するなど、組織全体の課題として取り組むことで、将来大きな成果を出す組織へと成長させることができるでしょう。
 

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