2019.6.4
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採用・育成

トップ・デジタル・タレントを確保する、5つのキーワード

(写真=Wichy/Shutterstock.com)
(写真=Wichy/Shutterstock.com)
AI(人工知能)やビッグデータ、クラウドサービス、IoT(モノのインターネット)といった先端テクノロジーが産業分野を問わず、ビジネスや組織の在り方を大きく変貌させています。

HR(人事)分野でも急速にデジタル化が進む近年、「トップ・デジタル・タレント」の確保と維持が成功のカギとなりつつあります。

HR分野でも重視されるデジタル・タレント

組織や市場のデジタル化が加速する中、多くの企業が慢性的なデジタル・タレント(IT人材)不足に頭を悩ませています。求人広告に職務内容や報酬を記載するだけでは、トップ・デジタル・タレントの確保は難しいでしょう。

米大手生命保険企業ガーディアン・インシュアランス・カンパニーの調査からは、より高度な効率性と従業員エンゲージメントを求めている多くの雇用主にとって、「人的資源テクノロジー」が最優先事項であることが明らかになっています。

「HRテクノロジー」とも称される新たな技術は、コスト削減・業務効率化・従業員のエンゲージメント向上など、HR分野に多くの恩恵をもたらします。しかし同時に、こうしたテクノロジーに知識と経験をもって迅速かつ的確に対応できる、デジタル・タレントの確保や育成という新たな課題をもたらしています。

トップ・デジタル・タレントを魅了する5つのキーワード

「非IT企業が、経験や知識が豊富なIT人材を確保するのは困難ではないか」という固定観念は、すでに過去のものになりつつあります。

年に米フォーブス誌が実施した調査では、トップ・デジタル・タレントの72%が「理想の仕事を得るためならば、給与が下がってもよい」と答えるなど、給与や地位、ブランド力よりもやりがいを重視していることが明らかになりました。

チャレンジ精神旺盛なトップ・デジタル・タレントを魅了する上で、以下の5つの要素がキーワードになります。

● デジタルツールの活用
● コミュニケーションおよびエンゲージメント
● モチベーション
● フレキシビリティ(柔軟性)
● エンプロイー・ベネフィット(福利厚生)

非IT企業がトップ・デジタル・タレントを確保するコツ

ミュンヘンに本拠地を置く世界有数の金融グループ、アリアンツは、非IT企業がトップ・デジタル・タレントに強くアピールする手本を示しています。

同社はスウェーデンの調査企業ポテンシャルパークが400社を超える世界の企業のデジタル・タレントとのコミュニケーション度を評価した国際ランキングで、2018年度第1位に選ばれました。欧州・アジア地域のランキングでは5年連続首位という快挙を成し遂げています。

「デジタル標準化」をスローガンに、デジタル保険企業への方向転換を進めているアリアンツは、デジタルタレントの確保に向け、テクノロジーを様々な手段に活用しています。

応募者の最大75%が活用しているというキャリア・チャットボットは、その一例です。雇用に関する質問に24時間365日対応可能という利便性の高さが、デジタル世代といわれるミレニアル層(1980年代~2000年代初頭生まれ)の人材にアピールする材料となっています。

また応募者の関心をひきつけ、コミュニケーションを図るために、Facebookに「自社の型破りな瞬間」をとらえた写真を投稿しているほか、Instagramでは応募者からのプライベートな写真の投稿を受けつけています。

さらに自社のキャリアサイトでは、「Rise of drones」というユーザー参加型ゲーミフィケーション(教育などにゲームの要素をとりこむことで、モチベーションの向上を図る応用法)を採用し、自社の価値観を楽しく、分かりやすく説明しています。

アリアンツの例が示すように、「この組織で仕事ができたら、モチベーションが上がる」と、応募者に感じさせる戦略が重要です。伝統的なリクルート法にこだわらない、求めている人材の需要を見極めた大胆で革新的なHRデジタル人材戦略が、トップ・デジタル・タレントの確保と維持に最大限の効果を発揮するでしょう。

トップ・デジタル・タレントが思う存分能力を発揮できるよう、創造性を刺激するような職場環境や、功績・貢献を讃える寛大な福利厚生システムを整える必要がありそうです。
 

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