2019.4.4
/
人材マネジメント

Google、Appleなどが起用する「アジャイル・タレント」とは?

(写真=ImageFlow/Shutterstock.com)
(写真=ImageFlow/Shutterstock.com)
柔軟性と知識に富み、無限の才能を秘めたリモートな人材--「アジャイル・タレント(Agile Talent)」とはそんな人材を意味します。

GoogleやApple、Intelなどの大企業も雇用するアジャイル・タレントと一般的な派遣社員およびフリーランスとの違い、アジャイル・タレント確保の課題について考えてみましょう。

外部と協力し、短期間で結果を出すアプローチ「アジャイル」

最近、ビジネスシーンで頻繁に耳にするようになった「アジャイル」という英単語は、本来「敏感な」「素早い」といった意味です。

例えば、仕様変更に柔軟かつ素早く対応するための新たなソフトウェア開発手法として、「アジャイルソフトウェア開発」という言葉がIT分野で定着しています。

アジャイルソフトウェア開発は、チーム内および開発者、顧客間のコラボレーションに大きく依存することで、短期間で結果を出すアプローチです。小規模で反復的な更新を頻繁に行う必要があるIT分野には、アジャイル型戦略が適しているというわけです。

IT企業に限らず、このアジャイル型戦略を応用し、マネジメントやマーケティングに活かす企業も増えています。

アジャイル・タレントがもたらす利益

アジャイル・タレントとは、急速に変化する市場の需要に柔軟かつ迅速に対応し、短期間で結果を出すことができる外部の人材です。組織内で補いきれない人材のギャップを埋める役割という点では、派遣社員やフリーランスに該当しますが、専門知識や技術を有するという点が特徴です。

長年にわたり企業は多様性や利便性、コスト削減などの理由で派遣社員やフリーランスを採用してきましたが、アジャイル・タレントという名称の生みの親である米人材コンサルタント、ジョン・ヤンガー氏は、アジャイルタレントを「新世代の人材」と形容しています。

アジャイル・タレントは単一の組織に所属せず、正社員のように管理上または運用上の作業に携わる代わりに、リアルタイムで期限内に解決すべき戦略的な作業を担当します。

例えば企業が新たな土地に進出する際、その土地のビジネス事情に精通している現地のアジャイルタレントを一時的に起用します。それにより、自社の従業員を派遣するよりも確保の手間暇やコストがかかりますが、事業プロセスが円滑に進み、期待以上の成果を得られる可能性が高くなります。

「アジャイル・タレントがもたらす柔軟性・仕事のスピード・イノベーションは、コストと同等、あるいはそれ以上の価値がある」と、ヤンガー氏はハーバード・ビジネス・レビューの取材で述べています。

Google、Apple、Intelなど大手企業も起用

大手企業は既に、新しい能力、つまり外部専門家の戦略的利用を通じ、最大限の優位性を得ています。

例えばGoogleやIntelは、人々のテクノロジーに対する思考や動向を探る目的で、社会科学およびバイオメカニクスのアジャイル・タレントと協力しています。Apple、Uber、Airbnb、IBMといった企業も、一時的に外部の専門家を雇用することで、同様の利益を得ているのです。

急速に変化する市場の需要に敏感に対応できるか否かが、企業の存続を左右する時代、組織内部・外部という壁にこだわっていては、持続的な成長は望めないでしょう。そのため、専門知識・技術と革新的なアイデアをもって、臨機応変に様々なチャレンジを受け入れられる人材を求めている企業は、分野を問わず後を絶ちません。アジャイル・タレントの需要は今後益々拡大していくものと予想されます。

アジャイル・タレントを確保する4つのポイント

その一方で、アジャイル・タレントの確保に苦戦する企業も少なくありません。

アジャイル・タレントは給与や地位よりも、企業のビジョンやミッションステートメントに魅了される傾向が強いため、企業は「目標や期限、優先事項の明確化」「定期的なフィードバック」を、雇用戦略に加えるべきでしょう。

また正社員同様、「十分なコミュニケーション」を意識し、アジャイル・タレントが「快適に任務に打ち込める環境」を提供することも重要です。
 

【オススメ記事】
グローバルタレントマネジメントが求められる理由にせまる
アジアの現地企業の人材流出を防ぐためにすべき4つの対策
日本型「同一労働・同一賃金」のスタンダードな位置づけは?
アジアでの法人駐在員がマネジメントで失敗する3つの理由
アジアに進出する日本企業が直面する人事における3つの課題とは?

NEXT Googleなど大手が採用「ゲーミフィケーション」はHRの未来をどう変える?
PREV 組織のコミュニケーションを向上させる「リエイズ」

公式Twitterアカウント