2019.4.3
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人材マネジメント

組織のコミュニケーションを向上させる「リエイズ」

(写真=dotshock/Shutterstock.com)
(写真=dotshock/Shutterstock.com)
組織全体における意見や価値観、ビジョンの共有は、組織力を高め、継続的な成長を目指すために欠かせない要素です。しかし中・大規模な企業において、一般の従業員がCEOや取締役を含む上級管理者と直接コミュニケーションを図る機会は非常に稀でしょう。

効果的な「リエイズ(liaise)」システムの構築は、企業が組織内部の調和を保つ上で重要な役割を果たします。

意見や価値観、ビジョンを共有する大切さ

ビジネス環境の移り変わりとともに、組織の在り方にも変化の兆しがみえています。「トップが絶対的な権力をもち、従業員はそれに従う」といったピラミッド型の組織図から、従業員一人ひとりの多様性を伸ばし、能力を引きだすと同時に、組織のビジョンや価値観を共有するという企業理念を打ち出す企業が増えています。

上層部は組織全体の目標を正確に下層部に伝え、下層部がそれを理解することで初めて組織一丸となり、達成に向けて取り組む環境が整います。また下層部の声に耳を傾け、問題や課題を早期に認識し、組織全体で解決策を講じる必要があります。

要となる組織内のコミュニケーションが欠落していると、次第に両者間の溝が深まり、生産性の低下や業績の低迷など、長期的なマイナス影響をおよぼす要因となりかねません。こうた背景から、近年、社内コミュニケーションが重視されているのです。

組織のコミュニケーションを向上させるリエイズ

組織には上司や人事部、労働組合など、上層部と下層部の橋渡し役を担う人物が存在します。英語で「連携」を意味する「リエイズ(liaise)」はこうした橋渡し業務を、「連絡係」を意味する「リエゾン(liaison)」は橋渡し役を指します。

例えば中規模の企業では、従業員は上司に問題や提案を伝え、上司は上層部にそれを報告します。つまりこのケースでは、上司が「リエイズ」の役割を果たす「リエゾン」というわけです。

しかし単に伝達事項を伝えるだけでは、効果的な「リエイズ」が行われていることにはなりません。両者間の意見を正確に伝達し、相違点を調節することで、初めて「リエイズ」が価値を発揮します。

効果的なリエイズに必要な要素

最も効果的にリエイズを行うためには、「リエゾンの役割をだれが担うのか?」「どのようにリエイズを行うのか?」という点を明確にしておくべきです。

組織の規模が大きくなればなるほど、従業員と上級管理職の間に複数の「中間管理職」が存在するなど、コミュニケーションにひずみが生じるリスクが高まる傾向がみられます。両者間にいくつものクッションが入ることでコミュニケーションの連鎖のどこかで失われ、伝達が滞る、あるいは正確に伝わらないことが原因です。

従業員が上層部とコミュニケーションをとりたい時、相談すべき相手が上司なのか人事部なのか--と迷うようでは、効果的なリエイズのシステムが成り立っているとはいえません。

またリエゾンがリエイズの目的や手順を明確に理解していないようでは、効果は期待できないでしょう。

欧米では給与から福利厚生、仕事に関連する苦情まで、従業員の労働環境に関連する問題を処理する人事部が、リエゾンの役割を果たすことが多いようです。リエゾンにはコミュニケーション能力に優れ、合理的に問題の解決に取り組むと同時に、両者間の関係の改善をサポートできる人物が最適です。

効果的なリエイズのシステムを構築に向けた戦略が必須です。

広がるリエイズの可能性

リエイズを社内の橋渡しに留めず、組織外部に広げることも可能です。一例を挙げると、Googleは2018年、検索エンジンの透明性に不審を抱く大衆との橋渡し役として、同社初の「検索リエゾン」を雇用しました。

このように広報部、マーケティング部、カスタマーサービス部など、自社と消費者の接点をより専門化する目的でリエイズを配置し、幅広いリエイズ・システムを築くことができるのではないでしょうか。
 

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