2019.3.22
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人事評価

世界共通の人事評価を行える「グローバル人事評価制度」

(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
急速なグローバル化が進む中で、企業はいかに優秀なグローバル人材を育成・活用していくかが重要になってきています。しかし、残念ながら日系企業はグローバルでの人事評価や管理に遅れをとっているのが現状です。グローバル人事評価制度とは何か、また構築の際のポイントについてご紹介します。

グローバル人事評価制度の必要性とその背景

日本の企業では、新規採用時に、長く勤めることを前提に従業員を募集して、1から育てていく方法が主流です。職務は必ずしもずっと同じではなく、人事異動によって違う職務に就くこともあります。

しかし、海外では学歴だけでなく実績や実務経験重視であり新卒・中途の概念がないなど採用の要件や就業スタイルは多種多様です。さらに各国の文化や国民性、法令などにも、拠点ごとの特色や違いがあります。

人事評価制度を拠点ごとに構築すれば現地に適したものになりますが、代わりに企業としては各国ごとにバラバラな人事評価制度になってしまい、人材管理が困難になります。その結果、適材適所の人材配置や人材育成・開発が遅れ、国際経済の激しい競争の中で遅れをとってしまいます。

こうした課題を解決するために、グループ企業全体で人事評価制度を共通化し、一元管理によってグローバル人材を「見える化」し、成果や役割を公正に評価する「グローバル人事評価制度」の必要性が増しています。統合された人事評価制度によって、どの人材がどのような能力を持ち、どの拠点にどのような人材がどれだけいるか、いつまでにどのような人材が必要なのかを把握することで、最適な人材戦略を実行できるようになるため国際競争力の強化につながります。

グローバル人事評価制度による評価の公正化

グローバル人材に対して最適なポストへの配置や適切な教育などの人材マネージメントを行うためには、適切な評価ができなければなりません。

日本企業は役割や責任範囲が曖昧なため、主観的な評価になりがちです。公平・公正な評価のためには、仕事の役割や、責任範囲、難易度などによって序列をつけたグループ会社共通の仕組みである「グローバルジョブグレーディング」によって、役割などによる職務等級を取り決め、さらに昇格や昇給のルールについても明らかにすることで、評価の公平・公正性が増し、従業員のモチベーションアップにつながります。

グローバル人事評価制度構築のポイント

グローバル人事評価制度の構築には、いくつかの取り決めを明確にする必要があります。
  • グローバル経営戦略と組織戦略の策定
    海外拠点の目的や経営方針は企業ごとに異なります。今後、どのような事業戦略を取っていくのか、また、そのためにはどのような組織が必要なのかなど、中長期的な戦略を策定します。

  • 人材像の明確化
    グローバル経営・組織戦略にもとづいて、語学力や異文化理解、部下育成能力、課題解決力など、自社が求めるマネージャーの能力を明らかにします。

  • 必要なマネージャー数の明確化
    グローバル経営・組織戦略にもとづき、中長期の計画の中で必要なマネージャー数を明らかにします。

  • グローバルジョブグレーディングの導入
    先述の通り、グループ会社共通の役割や責任の範囲などによって職務等級を決めます。どのような仕組みもメンテナンスに膨大な労力がかかってしまっては、仕組みの継続が難しくなります。そのため、等級を決める際には、シンプルな仕組みにすることが重要です。

    欧米系の企業はグローバル人事制度構築にあたって、本社の役員や本社事業部のトップ、海外拠点のトップなどのタイトルによって4~5段階に設定しています。日系企業では複数の職務等級を1つのバンド(束)とするブロードバンディングを用いて、職務等級を簡素化しているところもあります。

  • 本社の人材マネージメントの範囲
    日系企業の多くが、終身雇用を前提とした考え方のため、すべての従業員を育成の対象に考えがちです。昨今のHRテックによって、全従業員のデータ収集や分析は簡易になってきていますが、グローバル企業においてはリーダーの育成が重要なため、まずは次世代経営者とリーダー候補となる若手ハイポテンシャルの人材育成やモチベーションアップの施策を優先することが大切です。

日系企業に求められるグローバルマインド

グローバル人事評価制度が構築できたとしても、それらを扱う人間によって結果が変わってきてしまうことは言うまでもありません。例えば、日系企業にありがちな海外拠点の経営者を必ず日本人にするといった人材配置では、真にグローバル化ができているとは言えません。公平・公正な評価の結果、適切な人材を経営者に選ぶグローバルマインドがあれば、グローバル人事制度は企業にとって有効なものになり、国際競争力の強化につながることでしょう。
 

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