2019.4.1
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人材マネジメント

未来の同僚は自律型移動ロボット?「モボット(Mobot)」

(写真=YAKOBCHUK VIACHESLAV/Shutterstock.com)
(写真=YAKOBCHUK VIACHESLAV/Shutterstock.com)
AI(人工知能)などテクノロジーの発展により、「ロボットが人間から仕事をうばう可能性」が論じられています。しかしテクノロジーの進化に対する懸念は、「ロボットと人間が共存する社会作り」へと徐々に移行しつつあります。

そしてロボットと協働する手段として注目を集めているのが、自律型移動ロボット「モボット(Mobot)」です。

自動誘導車 両×協働ロボット「モボット」

「モバイル(Mobile)」と「ロボット(Robot)」を掛け合わせた「モボット」は、必要に応じて自律的に移動・作業を行える、感知能力を備えた自律型移動ロボットです。

その用途は日常生活範囲から産業分野まで広範囲に拡大していますが、産業分野では自動誘導車両と協働ロボットを融合させたタイプが主流となっています。

例えば装備した距離計測センサーなどで、周囲の環境と自己の位置を確認しながら指定ポイント間を走行するため、走行レールや誘導装置を必要しない点が自動誘導車両の特徴です。

人間と分離した空間で単純作業を行うことを前提とする従来の産業ロボットは違い、協働ロボットは、人間と同じ空間で共同作業を行う目的で開発されています。そのため、限られた空間でも人間と作業しやすいように、近年は小型化・軽量化が進められています。

またこれまで専門性が高く複雑だったプログラミングも比較的簡単に対応できるものが増え、導入・維持コストの削減や法規制の緩和なども追い風となり、モボッツを採用する中小企業が増えています。

ピザハットや松下記念病院が実用化

モボットの需要は製造業に留まらず、サービス、物流、医療、軍事分野などでも、今後急速に拡大することが予想されます。

既に実用化が進んでいる代表例では、宅配ピザチェーン、米ピザハットの「Tundra Pie Pro」が挙げられます。トヨタのピックアップトラックTundra SR5を改造した特別車の荷台で、2本のロボットアームがピザを焼くというものです。

日本では松下記念病院がパナソニックと共同で、病院内の薬剤部から各病棟や救急外来に薬剤を無人運搬する自律搬送ロボット「ホスピー」を開発。

24時間稼働しているため臨時の運搬にも対応でき、人間のスタッフは運搬作業の負担が減ることで本来の業務に専念できるという利点があるほか、運搬設備の導入・維持コスト削減にも役立ちます。

ロボットとの協働に関しては安全性が懸念されていますが、「ホスピ―」は人間だけはなく、車椅子や歩行器といった障害物もしっかりと検知・回避するなど、安全への配慮もされています。今後は薬品だけではなく、検体や医療機器、書類等の運搬にも、用途を拡大する計画です。

モボットの導入のメリット、デメリット

モボットを導入するメリットは「人件費の節減」「作業効率アップ」「作業・製品品質の一定化」「人為的ミスの軽減」など。プログラム通りに確実かつ集中的に作業をこなすため、人間のスタッフと同じ稼働時間でも生産量アップが期待できます。作業の遅れから残業代が発生する、あるいは集中力や体力の低下が原因で生産性や品質が落ちる心配がありません。

導入を検討している企業は「導入のための環境整備・コストが大変」「故障などの際、エンジニアなど専門家のサポートが必要」「安全性に対する懸念」といったデメリットも考慮すべきでしょう。

モボットを最大限に活用するための課題

モボットを効率的に活用する上で、取り組むべき課題も多々あります。人間がロボットに仕事を奪われることなく、テクノロジーの恩恵を最大限に受けるためには、「それぞれの得意分野を追究し、不得意分野を補い合う」という発想がカギをにぎっています。

例えば「人件費削減」というと人員や残業代を減らす点に注意が向きますが、ロボットを導入したからといって人員や労働時間を減らすだけでは、生産性の低下の原因となりかねません。

ロボットが効率的かつ生産的に作業を行える領域はロボットに引き継ぎ、人間が優れている繊細な作業は人間が集中的にこなす。ロボットと人間を効果的に配置することで、最低限のコストで最大限の生産性増加を図れるのではないでしょうか。

5年後、10年後には「同僚はモボット」ということも、珍しくない世の中になっているかも知れません。
 

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